デザインのアイデアを見つけることは、以前よりずっと簡単になりました。
PinterestやTECTURE、Instagramを開けば、
世界中の建築やインテリアを見ることができます。
素材の使い方。照明の見せ方。家具の形。壁のつくり方。
少し探せば、たくさんの魅力的なアイデアに出会うことができます。
だから今、設計者に求められることは、
単に「たくさんのアイデアを持っていること」ではないように思います。
むしろ大切なのは、たくさんの可能性の中から、ひとつを選ぶこと。
そして、「これでいく」と決断すること。

時には、良いアイデアを捨てる
設計をしていると、たくさんのアイデアが生まれます。
どれも悪くない。むしろ、捨てるのが惜しいくらい良いアイデアもあります。
すると、ここには、このアイデア。あそこには、別のアイデア。
せっかく考えたのだからと、いろいろなものを残したくなります。
けれど、それを繰り返していくと、一つひとつは良いはずなのに、
空間全体としてはどこか薄いものになってしまう。
良いアイデア同士が、お互いの良さを打ち消してしまうことがあります。
だから、ときには良いアイデアを捨てることも必要です。
何をつくるかと同じくらい、何をつくらないかを決める。
それも設計だと思っています。

決めたら、くよくよ悩まない。
ひとつの方向を選ぶと、今度は必ず壁にぶつかります。
この考え方では、ここがうまく納まらない。
予算に合わない。使い勝手に問題がある。構造や設備とぶつかる。
そこで、別の都合のいいアイデアに乗り換えれば、
問題は簡単に解決できるかもしれません。
でも、そこで一度立ち止まって、
「この考え方のまま、どうすれば解決できるだろう」と考えてみる。
図面を描く。寸法を変える。素材を変える。ディテールを考える。
そうやって一つずつ壁を越えていくことで、
最初は単純だったアイデアに少しずつ厚みが生まれていきます。
アイデアそのものが、デザインの価値なのではない。
ひとつのアイデアを、どこまで考え抜けるか。
そこに設計の価値があるのだと思います。
CROPとは
CROP DESIGNの「CROP」には、刈り取るという意味があります。
土地や地域、事業、ブランド、そこにいる人。
まず、その場所にあるものからたくさんの養分をもらい、アイデアを育てる。
そして、育ったものをすべて使うのではなく、その中から本当に大切なものを選び取る。
一つを選び、丁寧に料理していく。
そんな設計をしたいという考えが、CROP DESIGNという名前にも重なっています。
たくさん考えること。そして最後には、決めること。
設計者にとって、アイデアを生み出す力と同じくらい、
「これでいく」と決断する力が大切なのだと思います。