
H3 VINTAGE GINZAは、H3にとって初めての実店舗です。
これまでオンラインを中心に展開してきたH3が、初めて実際の店舗を持つ。
設計では、商品を販売する場所をつくるだけではなく、
H3が大切にしていることを、実際の空間でどう伝えるかを考えました。
オンラインでは写真や文章を通して商品を見ることができますが、
実店舗では、その場所まで足を運び、空間を歩き、商品を手に取り、
スタッフと話すことができます。
そうした実店舗だからこそできる体験をつくることが、
今回の設計では大切だと考えました。
最初から今の形だったわけではない
設計の初期段階では、現在とはかなり違う案も検討していました。
中央に大きな什器を置く案や、商品を並べて見せる案など、スケッチを描きながらいくつもの方法を考えました。
ただ、検討を進める中で、単に商品をきれいに見せるだけでは、H3の店舗として少し物足りないと感じるようになりました。
そこで改めて考えたのが、H3が扱う**ヴィンテージというものが持つ「時間」です。
ヴィンテージの商品には、それぞれが過ごしてきた時間があります。
それだけではなく、その商品が生まれる以前からブランドの歴史があり、商品が誰かの手に渡り、
また次の人へと受け継がれていくことで、その時間はこれからも続いていきます。
この過去から現在、そして未来へと続いていく時間を、空間として表現できないかと考えました。

時間がつづく、一本の廊下
そこで計画したのが、入口から奥へと続く長い廊下です。
廊下には商品を一点ずつ展示しています。
一つひとつの商品には、それぞれ異なる時間が積み重なっている。
その違いを感じてもらうために、まとめて陳列するのではなく、一点ずつ独立して見せることにしました。
展示什器は、商品を輸送するときに使われる木箱をイメージしています。
さまざまな場所を移動し、人から人へと受け継がれてきた商品を、一つずつ木箱の中に納めるように展示する。
商品の背景にある時間や移動まで含めて見せたいと考えました。
そして、長い廊下の突き当たりにはミラーを設けています。
本来はそこで終わる廊下が、鏡によってさらにその先へと続いて見える。
ブランドの歴史も、商品の物語も現在で終わるものではない。
過去から現在へ、そしてまだ見えない未来へ。
その時間の連続を、一本の長い廊下で表現しています。


実店舗だからできること
廊下を進んだ先には、バーカウンターや商談スペースを設けています。
商品を見るだけではなく、スタッフと話したり、商品の背景を聞いたり、ゆっくりと時間を過ごしたりする場所です。
オンラインで商品を見ることと、実際の店舗を訪れることは、同じである必要はないと思っています。
わざわざその場所まで足を運ぶからこそできる体験がある。
H3にとって初めての実店舗を考える中で、商品をどう見せるかだけではなく、そこでどんな時間を過ごしてもらうかを考えながら設計しました。